腸内フローラと身体と心① ~行き過ぎた衛生管理と自己免疫疾患、アレルギー疾患、鬱、自閉症~


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寄生虫なき病 表紙
『寄生虫なき病(An epidemic of absence)』
モイセズ・ベラスケス=マノフ(Moises Velasquez-Manoff) 著
赤根洋子 訳
福岡伸一 解説
文藝春秋 刊


ノンフィクションを好んで読む自分ですが、
本書ほど衝撃を受け私自身の日常生活に変化を与えた書籍はありませんでした。

タイトルと表紙にインパクトがあるのでキワモノっぽい印象を受けるかと思いますが、
本書はオカルトではありません。

私自身も最初は書店で面出しされている本書の写真にギョッとしタイトルに惹かれて手に取ったクチではありますが、
よくある寄生虫の不思議さ、面白さを好奇心から綴った書籍ではありません。

本書はヒトの体を「私」と「私以外の寄生者」というカットで二つに分け、
それらの関係を、ヒト免疫系を軸にして精神活動への影響まで含めて論じたサイエンス本です。

著者モイセズ・ベラスケス=マノフは科学ジャーナリストであり、同時に重い自己免疫疾患を抱えた患者でもあります。

本書を著すにあたっての彼のモチベーションがどこにあるのかというと、
それはジャーナリストとしての知的好奇心などではなく、
この辛い病気をなんとかしたい、なぜ私はこうなってしまったのか、
という彼自身の命への切実な危機意識にあります。

その危機意識をもとに、
著者は約8500もの論文を読み漁り、
様々な研究者へインタビューし、
様々な身体的・精神的疾患を抱える人たちと出会います。

さらには彼が彼自身の体に寄生虫を取り込むことで実際どのような心と身体の変化を得たのか
といういささか刺激的な経験談にまで及びます。

とはいえ読んでいただければわかると思いますが、
本書はそんな彼の興味深い体験談をクライマックスとした疑似体験本ではありません。

題材も寄生虫より腸内微生物にスポットが当てられています。
昨今では腸内フローラという言葉が使われているかも知れませんが、本書は体内のカオスとも言うべき腸内細菌が肉体と精神にどの様に影響を与えるのかを中心に研究されています。

先進国ほどアレルギー疾患と自己免疫疾患の罹患者が増えるのはなぜだろう。

なぜ、多くの病原菌に日常的に暴露している国や地域の人ほど、それら罹患率が低いのだろう。

なぜ、今まで無害だったピーナッツや花粉を突然拒絶するようになったのだろう。

自分の免疫系が自分の体を攻撃するようになってしまったのはなぜ?

発症する人としない人にはどんな違いが?

免疫系が”私”と”私以外”を線引きするメカニズムとは?

風邪などで高熱を発すると自閉症の症状が一時的に改善するのはなぜ?

・・・

もし、あなたやあなたの家族がアレルギーや自己免疫疾患、うつや自閉症に悩んでいるのであれば、
もし、あなたの家族に加わる新しい命が健康であることを願っているのなら、
どんな医師に相談するよりも先にまず本書を手に取ってぜひ読んでみてください。

本書で紹介される数々の研究成果に幾度となくハッとさせられ、
彼が綴る数々の言葉に自身の行動を省みることとなるでしょう。
寄生虫なき病 帯裏解説
文字通り、必読です。


文藝春秋BOOKS
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163900353

解説「不在」による病い
http://hon.bunshun.jp/articles/-/2308

文藝春秋ホームページ
http://www.bunshun.co.jp/

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